トリッパ トラステヴェレ風
Trippa alla Trasteverina
(トリッパ アッラ トラステヴェリーナ)


 トラステヴェレ川を挟んだ向こう側は、昔ながらのローマが残るれっきとした下町です。昔そこでは動物の屠殺が行われていた為、内臓料理が栄えた地区でもありました。その頃は、宗教的に精進料理を食べなければならない金曜日があったため、精のつくトリッパは土曜日に食べられるものと決まっていました。今でもトラステヴェレを歩いていると、「土曜日はトリッパ」と書かれた看板が店の前に出ていたりします。
 ローマ風のトリッパは、沢山の野菜とともにトマトで煮こみ、ペコリーノをふりかけるといったものです。これにパンを添えれば立派なピアット ウニコとなるのが大きな特徴です。もう1つの特徴は、爽やかなミントの味と香りがきいていて、トリッパの独特な味をより美味しくひきたたせてくれるということです。入っているのはメンタ ロマーナというミントの一種で、日本にはないものですがペパーミントに似ています。
 このお皿はカピトリーノを始めた時からずっとメニューに載せつづけてきたものであり、吉川シェフにとって、非常に思い入れの深いお皿だと言います。しかし当初、日本人になじみの薄いトリッパのトマト煮こみは、なかなか出ませんでした。こんなに美味しいものをどうして皆食べないのだろう?という大きな疑問を抱きながらもシェフは作りつづけました。そのうち大使館関係のローマ人たちが来るようになり、彼らがトリッパを食べているのを見て、興味を持った人が注文するようになり、少しずつ売れるようにはなりましたが、確立するまでに30年はかかったといいます。今ではこのトリッパを目当てにカピトリーノを訪れる人も沢山います。自分がおいしい、と信じているものはあきらめずに出しつづけるしかないというシェフの思いがつまったお皿なのです。




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