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ネブローディ豚 Maiale dei Nebrodi
シチリアの名峰エトナ山は、まるで富士山のようだと (日本人の間だけで) 形容される美しい山です。その麓に広がる緑の森林地帯はネブローディ州立公園と呼ばれ、1800メートル級の山や湖、そしてこの地ならではの動物たちが見られます。
実はこの森の中に、知る人ぞ知るシチリア原産の野生の豚がいるのです。その名も Maiale dei Nebrodi ネブローディ豚。日本ではチンタ・セネーゼがイタリアの豚として有名になってきましたが、この名前を知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。真っ黒な肌を黒い長めの剛毛が覆い、遠目には猛々しい感じがしますが、実際は座高60センチほどで、豚としてはあまり大きな種類ではありません。野生の豚なので食糧はもっぱら森にあるドングリなどの木の実類。そのため肉の味に深みが出るといいます。研修生が行った豚肉加工工場の看板商品が、このネブローディの生ハムやサラミでした。養豚場も併設しているのですが、豚は飼料によって味が変わってしまうので、ネブローディはここではなく、森の中で育てているとのこと。大きな囲いを作ってその中に放牧しているのだそうです。 加工するために捕獲した後30日の間は、野生の匂いを和らげるために穀類と乾燥空豆だけが餌となります。 また、この地方の養豚法は、豚に水を与えないという独特なもの。肉の状態を見ると一目瞭然で、乾いているような感じがします。これは肉の水分が少ない方が、旨みが凝縮して美味しいからだとか。
肝心のネブローディ豚本体は、エトナ山のふもとにいるため、見られませんでしたが、生ハムについていた足先にその名残を感じることが出来ました。さて、養豚場見学の後は、待望の味見です。生ハムやサラミ、パンチェッタなどのスライスが盛られた大皿と、親戚の人が作った地元のワインが用意されています。デザートもオーナーのお母様のお手製と、何とも温かいおもてなしです。 しかし、イタリア中に豚加工肉はあっても、そのどれもが土地に根差していて、個性があるものです。生ハムひとつとっても、パルマやサンダニエーレだけではなく、とても数え切れないほどの名前があります。 北イタリアの清浄な空気の中で加工されたふんわりとやさしい風味のものに慣れていた研修生たちには、ここシチリアの噛みしめるほどに味の広がるものは、かなり衝撃的だったようです。 「イタリアは広い。来なければ分からなかった」とのつぶやきがあちこちで聞かれたのも、無理はありません。 |
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