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仔豚 Maialino da latte
野生のオリーヴの木の間を抜けていくと、急に視界が開けて、正面に目的地のリストランテが見えます。右手には岩肌がむき出しになった山が太古からの存在を主張するように、人間を寄せ付ける気配もありません。でも左手はなだらかな緑の斜面が、遠く海まで続いています。それにしてもここは別天地、イタリアのどの州にも似ていず、何の説明もなく写真を見せられても、すぐに言い当てることができるほど個性的な所です。 サルデーニャに入ってから、次から次へと続くプログラムにちょっとお疲れ気味の研修生、やっとリストランテのテラスの椅子で一息つき、ビール片手にこの島の独特な景色を満喫することができました。深呼吸すると、花の香りを含んだやわらかな空気が体中に浸みこんでくるようです。おや、それに混ざって、なんだか良い匂いがしてきます。ちょっと焦げたような香ばしさと、煙の薫り。においを頼りに進んでみれば、着いたのは開け放された小屋の片隅に火がたかれ、その周りに肉を突き刺した棒がいくつも刺さっているところ。肉はただの切り身ではなく・・・仔豚の半身のよう。どうやらここは、サルデーニャ名物の“ポルチェッドゥ”を焼いている場所のようです。
“ポルチェッドゥ”は、オーブンで焼く場合もありますが、このように強火の遠火で、トロトロと何時間もかけて焼くのが本来の形です。これはまさに本物。サルデーニャに来たという実感がわいてきます。・・・・でも起源をもっと遡ってみると、穴を掘り、その中で火を燃やして周りの土を充分に熱してから、木の葉に包み込んだ仔豚を丸ごと入れて土をかけ、蒸し焼きにしたものだったといいます。今でもこの料理には、サルデーニャ自生のミルトという木の枝を添えるのが習慣になっていますが、肉を焼いてから添えるのであまり香りは移りません。でも穴の中の蒸し焼きならばミルトの香りをたっぷりと含んで、風味豊かなものだったに違いありません。古代ローマ時代から、最も使われている肉は豚肉でした。 それは料理に使うだけではなく、加工して生ハムやサラミを作ることができたからです。となれば大きくしてから食べるのが一番利口な使い方。100キロ以上ある“マイアーレ”大人の豚を使うのが普通です。それより小さい“マイアリーノ”は6か月から10ヶ月の子豚を指し、ほとんど市場に出ることはありませんが、高級食材として時々見かけます。しかしサルデーニャで使われているのは、もっと小さい乳飲み仔豚で“マイアリーノ・ダ・ラッテ”と呼ばれ、豚肉の中でも最も高価なものです。大人の豚に比べて、肉の色が白く、口当たりは柔らかく、噛みしめると乳の風味がします。しかも皮が薄いので、これで“ポルチェッドゥ”を作ると、パリッと割れた香ばしい皮の中から肉汁があふれ出るという、考えただけでもよだれの出てきそうな料理になります。もっと育ててから食べれば良いのにと思われるかもしれませんが、それはおもてなしの心を大切にするサルデーニャ人たちを知らないから。お客様には、自分たちの大切な財産だからこそ、仔豚を味わっていただきたいのだそうです。 さあ、研修生たちと一緒に、ポルチェッドゥを満喫するために食卓に行きましょう。 |
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