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ンドゥーヤ N'duja
「なんだろうこれ。ぷよぷよして変なもの」「唐辛子がぎっしりと詰まっている。辛そうだなあ」 これがンドゥーヤとの初対面。 最近は中北部の街でも見かけるようになったンドゥーヤは、カラブリアの特産品で、ミンチにした唐辛子と肉を豚の腸に詰めた物です。色はまさに唐辛子の赤。見ただけで舌がヒリヒリとしてきそうです。
11月になって寒くなると、イタリアでは各地で春先から育てた豚を屠畜し、冬に備えて生ハムやサラミを作る習慣がありました。ふつうは塩を保存剤として使いますが、カラブリアではそれに唐辛子が加わります。もっともカラブリアの唐辛子好きは有名で、味の面だけではなく、種をまいただけで生える唐辛子は安価な保存剤になり、魚や肉の保存にもよく利用されています。さてこのンドゥーヤ、もともとはナポレオンの時代 (1806-1815) にやってきたフランス語のアンドゥイェから出ているという説と、1500年代にスペインから伝えられたという説が二つあります。前者は肺や胃、野菜と共に茹でた内臓をミンチにして腸に入れた物を指し.後者の説は1500年代にスペイン人が唐辛子と共に持ってきたということです。実際には、唐辛子と肉のミンチを腸詰にしたものですから、この二つが混ざり合った物と言えるでしょう。 ンドゥーヤは、以前はカラブリアに行かなければ手に入らなかったものですが、最近は北部の食料品店でも比較的手に入るようになりました。きっと北部に出稼ぎにくるカラブリア人たちが多くなったからなのでしょう。
食べ方は、そのままパンに塗って、軽食に。その時に日本の旅館でよく使うような、ローソクで保温する容器に入れて温めると、一層おいしくなります。もちろんパスタにからめたり、茹でたインゲン豆と合わせたりすると、個性的なとても美味しい料理になり、それだけではなく工夫次第で可能性は大きく広がります。「しかしこんなに唐辛子を使っていたら、どの生産者のものが良い味かなんてわからない」と言われるかもしれませんが、やはり違うのです。どうやら味の違いはどんな唐辛子を使うかによるようです。 カラブリアはトウガラシの本場らしく、細長いものから三角形、丸型のものまでいろいろな種類があります。味もひたすら辛いものから甘めのものまで。「栽培されている唐辛子の数は」と聞いても、「トウガラシはすぐに交配して、新しい品種が出来てしまうので、なかなか正確な数は分からない」との事。そんなに多くの種類があれば、生産者独自の味を出すのは、あまり難しいことでもなさそうです。訪問をした生産者は、自分で唐辛子を栽培し、肉も放牧してドングリなどを食べている豚だけを使っているのだそうです。なるほど、ここのンドゥーヤは辛さは控えめ、その分旨みがたっぷり。材料によってこんなに違いが出るとは、思いませんでした。 「これをつまみに日本酒でいっぱい・・いいなあ」と研修生の言葉。料理を学びにイタリアに来ても、時々ノスタルジーが顔を出すようです。 |
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