numero 24
野草 Erbe di campo



 「私たちがイタリア料理と呼んでいるのは、マンマたちが家族のために知恵と工夫で作った料理。だから贅沢な食材は使っていないし、身の周りにある食材、野菜や特に野草類がよく使われています。」
 毎回の研修生がまず聞かされる言葉です。でも言葉だけでは実感が湧きませんし、日本で本を読んでいるのと同じこと。そこでまずは実際に見ることが大切と、裏山に野草探しに出かけてみました。ありました。ありました。タイムやミントなどの香草類はもちろんのこと、あのサラダやカルパッチョにつかう「ルーコラ」まで花を咲かせています。
 ルーコラはもともとは南イタリア・プーリア州でパスタに和えたりしてよく使われていた野菜ですが、ここ30年ほどでイタリア全土に広がったものです。流通しているものは栽培種と野生種と呼ばれるもので2種類あり、栽培種が葉が大きく花も白紫色なのに対して、野生種は肉厚で細い葉をしていて黄色い花が咲きます。今では野生種も栽培されていますが、野原でもよく見かけるので、自分で摘んで料理に使うことが出来ます。
 ルーコラほど使われることはありませんが、あちこちに生えていて、特にリグーリア地方の料理に使われているのが「ボラッジネ」。日本ではボリジンの名前で、たまに観賞用として売っているのを見かけます。うっすらととげの生えた肉厚の葉が密集していて、きれいな空色の星型の花が咲きます。食べるのは葉の部分で、キュウリのようなさわやかな味がします。新芽はサラダに入れ、少し育ったものはゆでて詰め物パスタの具にします。
 「ストリードリ」はイタリアの野原ではどこにでも生えている草で、提灯のようなふくらみの先に白い花びらがついていて、そのままドライフラワーにも出来る可愛らしい花が咲きます。食べるのは新芽の部分だけで、こちらもまた詰め物パスタの中身に使われます。実際に種を売っているのを見たのはエミリア・ロマーニャ州のロマーニャ地方だけでした。
 最近よくリストランテのメニューに載っている野草は「オルティーカ」。日本ではイラクサと呼ばれ、見た目はシソの葉にそっくりですが、葉の裏にとげが生えていて、一度刺さるとなかなかとれません。そのために摘む時には若い葉の部分だけを葉の表面からつかむようにして摘みます。特にオルティーカで作ったリゾットは春の野原を思わせる季節感あふれるメニューとなっています。他にはミネストローネの材料にも使われてます。
 簡単に手に入るので使われていた野草ですが、これを日本で再現しようと思ったら・・・ため息を漏らした研修生が何人もいました。

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