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香草 Erbe Aromatiche
春の休日、シチリアではとっくにアーモンドの花が咲いてしまったというのに、研修先ドモドッソラを囲む山にはまだまだ雪が残っています。でも、せっかくのお休みです。ホテルで勉強ばかりしているのももったいない話、お昼ごはんまでの間裏手の丘を散歩してみましょう。 スイスとの国境の町ドモドッソラは、小さいながらも何もかも揃っている地方都市です。けれど一歩外れると、丘が続きそこには20戸ほどの石造りの家が固まっている部落が点在しています。その屋根瓦までが石で出来ているのは、この地が石材の大産地だから。人口が少なく、冬の間雪に埋もれてしまうこの地方では、瓦を焼くよりも石を薄く切って作った方が便利だったからなのでしょう。石の名産地ドモドッソラの石切り場から切り出された石は、その昔ミラノのドゥオーモを作るために運ばれていったそうです。 さて散歩はいくつもあるその石造りの部落を通る小道を行きます。 「ワー、可愛い花」誰かが陽だまりに咲いているピンク色の小花の群れを見つけました。 「葉をとって匂いをかいでみたら」 「え、とっても良い匂い」
そうです。咲いていたのは可憐なタイムの花。その数メートル先にはスペアミントがあり、横の草むらにはメントゥッチャという、これもまたミントの種類でローマ料理によく使われている物が数本生えています。このように、イタリアの野山には当たり前のように香草を見つけることが出来ます。自分の身の回りにあるものを使って出来上がってきたイタリア郷土料理の中に、香草が入り込んだのは当然の事といえるでしょう。お金を使わず、料理にアクセントをつけることができるのですから。 そう言えば、ミントが生い茂る地方に行った時のことを思い出します。道を数百メートル歩いただけで、何と4〜5種類のミントを見つけたのです。レモンの香りのするもの、リンゴの香り、小さい物、大きい物と色々でしたが、それらは紛れも無くミント。そしてその夜のリストランテでは、やはりミントを使った卵料理が出ました。 この香草と正反対にあるのが香辛料です。古代ローマ時代から香辛料は外国から運ばれてくる、金にも匹敵るすほどの高価なものでした。今でこそあちこちのスーパーマーケットの棚に並んでいますが、昔の庶民には手の届く物ではなかったのです。そのため庶民料理を基調としたイタリア郷土料理の中には、ほとんど入ってくることがありませんでした。もし入っていたとすれば、それは“豪華”な料理という意味合いがあったのです。 どうやら研修生たちには、道を歩きながら香草を探し出すという癖がついてしまったようです。 研修後半の旅行では、同じバジリコでもジェノヴァもの、葉が10センチもあるナポリのもの、シチリアの1センチほどの葉が丸く茂っている物など、地方に根付いた多くの種類があるということを発見し、郷土料理とのつながりを確認していくのでしょう。 |
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