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FICTイタリア料理長期研修
研修生のいる風景(7)
「リストランテ イル ミリオーネ」 シェフ 泊 義人 (FICT第7期生)
急速な経済成長と2008年の五輪。といえば、中国・北京である。今、全世界の注目が集まっているこの街でも、各国大使館や公邸、シェラトン、ヒルトンといった五つ星ホテルが集まる中心地区に2004年8月、リストランテ「イル・ミリオーネ」がオープンした。 泊義人さんは、その店の一切を仕切るシェフであり唯一の日本人である。彼はイタリア料理研修から帰国後、日本のリストランテでセコンドシェフも勤めたが、「海外での新鮮な毎日が忘れられない。僕は一瞬、一瞬、今を生きていたい」と単身、北京に乗り込んでいった人。決まったときは「うれしくて武者震いした」という泊さんが中国に渡ってから、準備期間を含めもう1年以上が経つ。 今、いちばん面白いことは何ですか?と訊ねると、「北京という場所です」という答が返ってきた。「国民性が全然違うのでスタッフを使うのは大苦戦ですけど(笑)、でも世界中からいろんな人が集まって、どんどん発展しているこの北京自体が面白い。そこでゼロからお店を任されていることも、料理人として普通はできない経験だと思います」 最初のうちは食材の仕入れひとつにしても苦労したが、それも今では人脈ができたことで解決したという。
「お客さんもはじめのうちは日本人が9割だったけど、アメリカをはじめ外国人駐在員や、台湾、韓国、中国人も増えてきました。毎週来てくださるスペイン人のファミリーもいるんですよ」独学で、北京語もだいぶ覚えた。営業中は店の顔として、意識してフロアに出てはお客さんとコミュニケーションを取るよう努力した。お客さんの希望で料理教室も開催した。 そうやって手探りで、まさに「ゼロ」から切り拓く苦しみと楽しみを同時に味わっているという。 そう、北京はイタリア料理未開の地だ。20年前の日本、という人もいる。だとすれば、逆にこれまでイタリア料理を知らなかった中国の人たちが、その味を受け入れたらどんなことになるだろう? 「まだ地盤がない日本でイタリア料理を作り上げてきた先輩達の気持ちが、わかるような気がします。北京のお客さんが知っているのは、まだ (ピッツァでなく) ピザ、スパゲッティという段階。その中でイタリア料理の地盤を築いていくという、すごく重要な役目を担っていると思います。お客さんを育てるというか、大きく言うと北京自体を育てるということですよね」 いつになるか見当もつかないけれど、泊さんはこの店を「北京でトップレベルの店にしたい。というより、する」のだそうだ。 オリンピックまであと3年。北京も、店も、泊シェフも、急成長の真っ直中である。
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