FICTイタリア料理長期研修
研修生のいる風景(4)


「トラットリア・フィオッキ」 オーナーシェフ 堀川 亮(FICT第2期生)

 住所:世田谷区祖師谷3-4-9
 TEL&FAX:03-3789-3355
 定休日:水曜日


  堀川さんは、第2期FICTに参加。昨年12月に帰国し、この10月、生まれ育った街祖師ヶ谷大蔵にご自身のお店「トラットリア・フィオッキ」をオープンさせた。
  終始穏やかで、やさしい雰囲気の堀川さんだが、イタリア料理に関しては熱い信念をお持ちの様子。メニューには、イタリア研修時代の軌跡を辿るかのように各地の伝統料理が並び、堀川さんのイタリア料理に対する敬意を感じる。
  パスタが好きでイタリア料理界に入るが、それ以前に幼い頃から、料理好きだったお母様の影響で料理に対して興味ををもっていたという。
  3年前「どうしても本物のイタリアが見たい!」と研修参加を決意。ピエモンテ州〜エミリア・ロマーニャ州〜トスカーナ州など、主に中北部での研修を積んだ。特に印象深い研修先のリストランテとして名前があがったのが、ピエモンテ州の名店リストランテ・フリッポー。店名の“フィオッキ”は、フリッポーの料理名(かぼちゃのニョッキ)からとった。本来の意味は「小雪」を指すが、フリッポーのシェフ、ヴァルテル氏が、ゆで湯の中でまるで小雪のように舞う小粒のニョッキの様子を見て名付けたらしい。なんとも愛らしいその名前が気に入って、お店の名前にしたそうだ。
  フィオッキの名物料理ともいえる「仔羊のわら包み焼き」も、フリッポーで出会った料理のひとつ。その名の通り、仔羊の肉をわらで包んで焼き、わらの香りをつけるという珍しい料理。実際フリッポーでは、麦わらと5月に刈り取った香り高い干草に包んで調理するため、独特の香りがつき仔羊肉との調和が絶妙だという。(是非一度現地で食してみたいものである)堀川さんは、米のわらを使っているそうで、こおばしく柔らかなその香りが、肉の旨味を引き立てている。土地の素材を使い、伝統的な料理をフリッポースタイルの料理として作り上げたヴァルテル氏のことは、常に堀川さんの念頭にあるという。
  その土地で育った牛、山羊の乳で作られるチーズの数々、近くの山で取れたキノコ類、山羊飼いが運んでくる山羊乳、それで作るビアンコ・マンジャーレ(ブランマンジェ)などの出会いはフリッポー研修時代の貴重な体験だ。
  
  帰国後、1年も経たないうちに急遽お店をオープンすることとなった。もともと家族と一緒に地域に密着したアットホームなお店をやりたいという意思を持っていたので、実家のある祖師ヶ谷大蔵に好物件を見つけたことで即決心したそうだ。
  フィオッキの内装は白壁に何本かのレンガがはめ込まれた柱が立つ。研修時代に、奥様がフリッポーに訪れた際、レンガ壁の客席が気に入ったからだとか。ただの飾りの柱かと思いきや、思い出の名残なのだ。
  
  「イタリアでの研修中、長本さんから言われた“イタリアの風に当たって、イタリアの空気を感じなさい”という言葉をよく思い出しました。」という堀川さん。いざ開店してから「いったい自分はイタリアで何を見てきたのだろうか。」と疑問に思うこともあったという。そんな疑問を解決すべく、いつか再びイタリアに行って、イタリアの空気を感じてきたいそうだ。
  「家族と一緒に店が出来るなんて、自分は本当に幸せ者だと思っています。」と堀川さん。店内は、そんな堀川さんの幸せ感が伝わってくる。
  
  店を出る直前、片隅に飾られたヴァルテル氏と堀川さんが肩を並べて微笑むモノクロ写真が目に入った。ヴァルテル氏が、自分の店で修業した人間が東京で「わら包み焼き」を作っているなんて知ったら驚くだろうなと思った。
  
 〔イタリア滞在記録〕
 Dolada(Belluno),Il Casale(Riccione),Flipot(Torre pellice),Da caino(Montemerano)

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