お食事会報告
第41回 青山 リストランテ ベッカッチャ 渡辺シェフ
テーマ「渡辺雅之シェフのトスカーナ丘陵を散策する」
平成17年7月11日・12日

 梅雨の空気の中に少しずつ夏の香りが漂うようになった7月初旬。今回お食事会の会場となったのは、イタリアン激戦区と呼ばれる青山にある『リストランテ ベッカッチャ』。青山通りの路地を入って少し歩いた地下に位置する、まさに隠れ家といったロケーション。リストランテの厨房を仕切るのは渡辺雅之シェフ1人、サービスを担当するのは双子のようにそっくり!と評判の弟の恒之さん。お二人の優しく、そして明るい人柄がそのままお店の雰囲気となっている、とても心地よいリストランテです。今回は、渡辺シェフが修行をしていたトスカーナ、それもワインで有名なモンタルチーノ近郊の郷土料理をたっぷりと楽しませていただきました。

 まずアンティパストとして供されたのは、トスカーナ名物『パッパ (パン粥)』。もともと現地では古くなったパン (パンは聖なるものであるため、とても大切に食べられている) を利用し、まるでお粥のようにどろっとしたスープを作っているのですが、渡辺シェフのパッパは『パッパとして調理されたときにおいしく食べられるように・・』と工夫した自家製のパンで作った、とってもやわらかなパンのピュレといった印象。この日はビアンコとロッソ (トマト風味) の2種を一度にいただくことで、パンのもつ香ばしい風味のおいしさと、その香ばしさとトマトのあまみ・酸味があわさったときの風味の違いをじっくりと味わう・・という贅沢な体験をさせていただきました。また、素朴であるからこそわかる、素材そのものの味や作り手の思いを感じとることができる料理でした。
 プリモピアットには手打ちパスタ2品が登場。まずはじゃがいものピュレを包んだラビオリに、たっぷりのサマートリュフを振りかけた一皿。とろりとしたじゃがいもにリッチなパスタ、そしてトリュフの香りがなんとも贅沢な気分にさせてくれます。
 続いては常連さんにも大人気、というピーチ。ピーチはトスカーナ名物の手打ちパスタで、小麦粉と水だけで作るうどんによく似たものです。渡辺シェフの打つピーチは、やわらかでふわふわ、まるでマシュマロのような食感。人によってはオイルを混ぜたりする場合もあるそうですが、シェフは粉と水だけで生地を練り、1本1本を丁寧にのばして作っています。今回はアンチョビとにんにくの風味を活かしたブロッコリーのソースで和えた、見た目にも美しい一皿をいただきました。シンプルな味わいゆえに、パスタのおいしさがひきたつ逸品でした。
 セコンドピアットにはアンガス牛の炭火焼き。しっかりと厚みのあるロース肉を炭火で香ばしく焼き、中からは肉汁がたっぷりとしみだす・・まさに肉の旨みを感じるお料理でした。付け合せにはたくさんの野菜のグリル・・・ズッキーニ、ラデッキオ ロッソ、トマトそしてポルチーニが。それぞれの野菜の風味をぎゅっと閉じ込めた焼き加減に、『次に来たときはこれを絶対オーダーしたい』とうなる参加者も。
 ドルチェには『パンナコッタ』。生クリームの風味の豊かさをしみじみと感じさせてくれるおいしさでした。
 シェフの人柄がそうであるのでしょう、ひとつひとつのお料理がとてもやさしく、食べ終えたあとにほんわかと優しい気持ちになっていくのがわかります。参加者の拍手の中、『好きな料理は、珍しい料理というよりもイタリアにふつうにある料理。あたりまえと言われるような定番の料理を、大切に丁寧につくっていきたい』と語っていた渡辺シェフ。季節を通じてシェフの温かな優しい料理を体験してみたい、しみじみそう思うお食事会でした。

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