お食事会報告
第37回 渋谷 トラットリア ピノサリーチェ 柳シェフ
テーマ「柳令子シェフのシチリア東へ西へ」
平成16年11月15日


 11月の会場となったのは渋谷駅から徒歩7・8分、車の通りも多い賑やかな通りに面した『トラットリア ピノサリーチェ』。扉を開けて店内に入ると、表のあわただしさとは空気が一変。ハーブやオリーヴの鉢植えが並んでいる庭が目にとまります。その庭からの自然の光や落ち着いた空気が流れる空間が、訪れる人をやさしい気持ちにさせてくれる素敵なトラットリアです。
 今回のテーマは『シチリア東へ西へ』。もとはフランス料理出身の柳シェフですが、イタリア人やイタリアの“温かさ”にふれイタリア料理に転向を決意されたそう。そしてFICTイタリア料理長期研修では、南イタリアで研修をつまれました。特にシチリア州ラグーサでの経験は、現在の柳シェフのイタリア料理感を大きく変えたそう。
 今回のお食事会のメニューは、そんな柳シェフのシチリアへのノスタルジアがたっぷり詰まった内容で、さらに料理を通じてシチリアを周遊してしまうという趣旨のコースとなりました。
 アンティパストはエジプト豆の粉を練って揚げたパネッラや、ケッパーのサラダなどシチリア特有の食材や調理法を駆使した料理の数々が並びます。続いてはトラーパニ名物であるクスクス。アラブ料理として知られるクスクスですが、アラブの食文化の影響を色濃く受けているシチリアでも郷土料理として楽しまれているのです。但しよく知られているクスクスとは風味が異なり、たっぷりの魚介類でとったスープで味わうがトラーパニ風。魚介の旨味がしみ込んだクスクスは、お腹いっぱいでも是非おかわりしたくなる・・そんな風味が特徴でした。続いてのプリモピアットのタイトルは、カターニアへ。『私流ノルマ風パスタ』と題した、ナスのペーストを加えたトマトソースでいただくフジッリを楽しみました。通常ノルマ風パスタというと揚げナスがのせられているのですが、そのナスの風味をもっと楽しめるよう・・とペーストにしてソースにひと手間加えたのが柳シェフ流。ナスの甘みがソースをぐっと濃厚にしてくれるパスタでした。セコンドはシラクーサへ。仔羊のローストを甘いカラメル状のゴマ風味で食べる一皿です。これは、羊には甘みがよく合う、シチリアといえばトローネ・・という発想をもとにシェフが考案したお料理だそう。ゴマの風味・カラメルの香ばしさと、肉汁をたっぷり含んだ仔羊の組合せはまさに絶品(!)でした。シチリア周遊の旅の最後は、ラグーサ風ドルチェの盛り合わせ。シチリアらしく、シナモンの香りをたっぷり煮出して作られたゼリーや、カルーバの粉を加えて作ったビスコッティなど、普段なかなか味わうことができないドルチェの数々が旅をしめくくってくれました。
 華奢で可憐な柳シェフですが、料理に対する思いはとても熱く、そして大きいものを感じさせられました。料理を通じて自分が感じたイタリアを多くの人に伝えていきたい。そう語るシェフのこれからのお料理を通じて、もっともっとイタリアを感じ、楽しんでいきたい・・そう感じる素敵な夜でした。

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