お食事会報告
第29回 新宿 イル・ピッチョーネ 今井シェフ
テーマ「今井シェフのマンマを訪ねて」
平成15年7月28日


 多くの人で賑わう新宿の中心からほど近い『イル・ピッチョーネ』は、大都会の喧騒がウソのように落ち着いた空気が流れるリストランテ。7月の会は、今井シェフがイル・ピッチョーネのコンセプトとして掲げている『マンマやノンナの味』を楽しむ一夜となりました。
 もともとイタリア料理は郷土料理の集合体で、その根源は各家庭のマンマの料理だと言われています。そしてシェフがお客様に楽しんでいただいているのは、このマンマやノンナたちのシンプルでそれでいて愛情のこもった料理の数々。「イタリア各地を自分の足で歩き、その土地のマンマに教えてもらったイタリア料理です。高級な食材を使用するわけでもなく、特に美しく飾りたてた料理ではありませんが、その分マンマの愛情がたっぷり詰まっていると思っています」という今井シェフのお話から、お食事会はスタート。
 
 まずはアンティパスト。塩ダラとじゃがいものムース、そして材料をわざわざイタリアから取り寄せて作ったポレンタを添えたトリッパ。素朴なおいしさのなかに、しょうがの風味を利かせたりと、今井シェフの独創性も光ります。
 続いてのプリモピアットは、今井シェフがイタリアで感銘を受けたという『pici』の一皿。このパスタを教えてくれたノンナに料理の名前を尋ねると『名前なんてないよ。昔からこういうものだから・・』と言われた、というエピソードを紹介してくださいました。この日はシチリア風にタコのラグーと乾煎りしたパン粉をからめていただきました。
 セコンドピアットは、本当の海の水を使って作ったアックアパッツァ。なんとこの会のために、漁師さんに頼んで伊豆沖の澄み切った海水を調達してもらい、店に到着してからは常に火を入れながら時間の配分を見計らって料理をしたという手の込みよう。もともとアックアパッツァは、海水を沸かして魚を煮たものだ、ということで、その原点に敬意を表しての作り方となったそうです。
 続いての肉料理は、豚とちりめんキャベツをコトコトとじっくり煮込んだcazzuola。豚肉の脂のあまみをキャベツがしっかりと受け止める、家庭らしい味わいの料理でした。
 Dolceも地方性を感じる『なすとチョコレートのアマルフィ風』。ナスをうすく切り、一枚ずつ丁寧に水分を抜いたものにチョコレートのソースを合わせた手間のかかった一品でした。
 
 この夜の全ての料理に共通していたのは、手間をおしまずに食材や食べる人への愛情をあますところなくお皿へ注ぐというシェフの温かな思い。シェフが感銘を受けたというイタリア各地のマンマの料理の底に流れている、作る人の愛情が何よりの料理のエッセンツァになっていることを感じた夜でした。
 イタリア各地の郷土色豊かな料理に興味をもたれる皆様へ。是非今井シェフのもとへおたずねになってみてださい。日本にいながらにして、イタリアの家庭の味を楽しませていただくことができるでしょう。

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