北海道日伊協会 第4回 イタリア・食の小旅行
千歳市カフェ・エ・リストランテ・ナオ
松岡シェフの“サグラ・ディ・ホッカイドー”開催報告

 「なんてこったい!この冷夏!」来る日も来る日もお日様を見ない長い7月を過ごし、普段の北海道ならば秋風が吹くようになるお盆過ぎに突入。いつもの年ならば、店の近くの山にどっさりとあるオーヴォリはさっぱり姿を見せず、松岡シェフは毎日山を歩き回り、しまいには大雪山系にまでオーヴォリを探しに出かける日々。そんなシェフにやっと山の神様は微笑み、遅い夏の訪れとともにどっさりと山の恵み、それはそれは美しいオーヴォリを下さったのです。
 そして迎えた「サグラ・ディ・ホッカイドー(北海道の収穫祭)」当日。心配された雨は降らず、朝早くから火にかけられた8キロの豚は炭火の上でポルケッタとなってハーブの香りをまとい、こんがりと黄金色に焼きあがりつつ、シェフとスタッフの皆さんとともに札幌からバスで到着した私達50人を迎えてくれました。
 生ハムとモルタデッラ、店の前の畑で取れた野菜のサラダとズッキーニの花のフリット、砂肝のコンフィ、白レバーのヴェネト風、召し上がりたいだけどうぞ、とたくさん出された前菜に舌鼓を打つ私達。ちょっとおなかが落ち着き、ワインもすすむところに、日高から山ほど届いた毛蟹のパスタが登場。お皿が小さく見えるほどにたっぷり入った毛蟹を次々にたいらげる私達に「これからポルケッタとオーヴォリですから御腹一杯にならないでくださいね」とシェフの声。さて、サーグラにつきもののポルケッタをシェフがさばきます。ソースは誰もが「どんな味?」と期待するオーヴォリがたっぷり丸ごと、オーヴォリそのものです。そして豚の横にはかかえるほどの大きなボールに裏山で摘んだばかりのラズベリーが。つまみ食いする参加者、多数。シェフは「きょうはラスベリーのソースも添えます」とシチリアのオリーブオイルと塩とレモンでラズベリーをマリネしてソースをその場で作ります。「こんな食べ方があるのね」と驚く、やはり家の近くでラズベリーを収穫されるという参加者の声も上がりました。

 丸ごとの豚を、ひとつひとつの部位に沿って、丁寧にすばやくさばいていくシェフの手元に視線が集まります。小さな子供もまばたきもせずに豚が肉片になっていくのを凝視します。
 そして数分後、お皿の上にはポルケッタ、炭火で焼かれたとうきび(とうもろこし)とじゃがいも、オーヴォリのソースとラズベリーのソース。そして店の前の畑のバジリコのソースも。色づいていくこれからの山を思わせる、自然の色が詰まったそれは美しいお皿ができあがりました。「わ〜、おいしい」という歓声と「豚ってこんなに場所によって色んな味なんだね」という声の中、皆、どんどん幸せな顔になり、帰りのバスでは気持ち良く眠る参加者が目立ちました。
 行きのバスの中ではパドヴァ出身の留学生ニコラ・ヴィヴァンさんのヴェネト州のサーグラの話にイタリアのサーグラに思いを馳せ、会場では夏の終わりの北海道・千歳とその近郊の収穫の恵みを味わい、楽しみ、オーヴォリを見つけたときのシェフの「やったー!!」という嬉しい顔を思いながらのこの大地の味、海の味を満喫した、それは素敵な収穫祭の一日でした。
文・松田真枝

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