ごあいさつ

イタリアに関わってからもう30年にもなります。初めての海外旅行でイタリアに立ち寄る機会があり、その雑然とした雰囲気にあきれ、それでもなぜか惹かれ、長いおつきあいを始めることになってしまいました。今では選んだ国がイタリアであってつくづく良かったと思っています。偉大な芸術の国だからとか、西欧文明の源泉だということだけではなく、何よりも日常に食べるものが美味しいからです。食の歴史を見て、貴族たちが美味しいものを食べているのは当たり前の話。しかし庶民が美味しいものを食べているのは、その土地の文化度の高さによるのです。例えばパスタ。生地をどのようにこねるのか、どの程度寝かせておくのか、厚さはどのくらいに伸ばすのか、形はどのように作るのか、何のソースを和えるのか。イタリアのマンマたちは、知恵と工夫で、びっくりするほど美味しいものを作り上げます。しかもけっして豪華な食材を使っているわけではありません。
こんなイタリア料理の魅力を紹介したいと思ったのが、現地での食文化研修の企画、イタリア料理関係の記事を書くこと、リストランテを運営することなどの現在の私の仕事につながっています。

誠実に確実に日々暮らしている人たちから生まれた料理には、教えられるものがたくさんあります。それを優れた食文化を持つ私たちの国に紹介して、日常生活がもっと豊かになるためのお手伝が出来れば幸いだと思っています。

ict食文化企画代表 長本 和子
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