Le Frecce
レ・フレッチェ


 Le Frecce レ・フレッチェ (イタリア語で矢の意)「自分の名字をそのまま店の名前につけました。」そう話す大矢シェフの第一印象は気取らず、力まず、常に自然体。
 子供の頃将来はパイロットかコックになりたかったという大矢さんは、コックの道を選び約10年間日本で修行した後、第4期FICTイタリア料理研修に参加しました。
 ヴェネトを皮切りにシチリア、リグーリア、ロンバルディア、トスカーナ、エミリア・ロマーニャ、サルデーニャそしてマルケと、自ら研修先を探し、扉をたたき続けて4年の現地修行。帰国後はアンティカ・オステリア・デル・ポンテの日本人シェフに就任しました。
 そして今年5月、自宅から程近い横浜・日吉に自分のお店を開きました。オーダー、サービス、料理とすべて大矢さんひとりでこなす席数16の自分の城。メニューは、昼はコース、夜はアラカルト、そこには自分で歩き回った州の郷土料理の数々が並んでいます。
 「リチェッタを見ただけでは料理はつくれない。また、リチェッタ通りに作れるというわけではない。その土地に行って、実際にやってみないと何も見えてこない。」
 では、イタリアでの研修はどのようなものだったのでしょうか。「技術的には自信があったけれど、言葉ができなければ始まらないでしょう。コミュニケーションできないと、仕事もまかせてもらえないしね。せっかく来たのだからモノにしようと思って。」と日本人のいるところは極力避け、イタリア語のみの生活。その結果全てのセクションを任され、イタリア人とケンカできるほどの語学力を身につけました。
 研修先では、何をまず大切にしたのでしょうかとの質問に「人間関係です。これがうまくいけば、仕事しやすいし何より楽しくなる。料理はその次。」では、人間関係はうまくいったのでしょうかと、直接的な質問には「そう思うけど」と苦笑。
 自分のお店の宣伝はあまりしていないけれど評判は口コミで広がり、ランチは常に満席で、お客様の大部分が地元の方といいます。
 当日いただいたのは、前菜に「真ダコとセロリのマリネ」「フルーツトマトのカプレーゼ」。特にカプレーゼのモッツァレッラチーズのおいしさにびっくり (!) プリモピアットは「アリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ」。「毎回同じ味に仕上がらず苦戦する1品」というけれど、いただいて出てくるのは正直「美味しい」という言葉だけ。
 さて、想い出のリチェッタにつくっていただいたのは「ティジェッレ」と「ピーチ」。ティジェッレはエミリア・ロマーニャ州のモデナ名産の丸く薄いパンで、中にサラミやチーズなどを挟んで食べます。アツアツのものをそのままでいただきましたが、それだけで充分味わいがあり、芳ばしい香りがもっと食欲をそそりました。ピーチはトスカーナ州の手打ちパスタの一種。「食べたときは腰をぬかしてしまった」という、食感がうどんに似たこのパスタは、細いほど作るのが難しいとされます。生地だけ触らせてもらうと、とてもやわらかく、手にくっついてしまうほど。「一見分量を間違えたみたいだけど、これくらいでないと細く作れないんですよ。」できあがったピーチを大矢さんも味見。「自分でつくってみて、申し訳ないけどうまいね。」と納得の様子です。
 「イタリアをそのまま日本に持ってきても違う気がする。では、どうするのかが難しい。最近のイタリア料理は崩しすぎる気がするんです。」
 「うちはおいしいものしか出さないから。基本が『おいしいものを出す』それだけ。お客様に自分の出した料理がおいしいと言ってもらえて、喜んでくれたら、満足ですよ。」得意料理はと聞いたら「メニューにあるもの全て」と即答。愚問でした。
 「料理バカ」と言われるのが嬉しいという大矢さん。これからも変わらず基本に忠実に、自然体で自分の道を歩み続けるのでしょう。

住所 神奈川県横浜市港北区日吉本町4-1-55
愛光レジデンス6号
TEL/FAX 045-562-5004
*駐車場有
 
シェフ 大矢 晋治(FICT第4期生)
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