リストランテ ベネチア
飯岡 由多可 (FICT第8期生)


 ドアを開けると、外の騒音とは隔絶された世界がありました。白と黒で統一された店内、棚に飾られたベネチアングラスの数々、厳選されたワインのボトル、そこにあるのはひたすらイタリアを見続け、イタリアを学んだ人たちが作り上げた空間です。
 1980年代シチリアで料理の勉強をしたシェフのお母様が、当時東京でも少なかった本格的なリストランテの開店を思い立ちます。ちょうどベネチアサミットの時期だったので店名は思わず「ベネチア」に。ただ郷土料理の国イタリアではシチリアの料理とヴェネト料理は全く違うものであると気づいてからが大変でした。イタリアからシェフが来るといえば、全員ですぐに講習会にかけつけ、また現地イタリアに行って教えを乞う日々。
 地方都市大宮という土地柄、もっと手軽なスパゲッティ店のほうに人は流れます。しかしベネチアがいつでも向いていたのはイタリアそのものでした。おいているワインは今も昔もイタリアワインのみ、当時は使っているところも少なかったオリーヴ油エクストラヴェルジネもいち早く取り入れました。店で働く人も当然影響を受け、FICT第1期の新井大二さんと、ソムリエ長期研修でプロフェッショナル・ソムリエとなった小川征司さんもリストランテ・ベネチアの出身です。
 幼い頃からそんな環境で育った飯岡シェフにとってイタリアは、いつか必ず行く地だったのでしょう。
 FICT8期に参加した時は、一瞬一瞬が嬉しくてたまらないというように、また飢えていた様に色々なものを吸収する姿が見られました。
 さて、最初のステージ先は、もちろんヴェネト州、あの有名な三ツ星リストランテ“レ・カランドレ”です。日本においての実績もありましたが、それを0としての修行三昧・・・だけではなく、あちこちへの食べ歩きにも精を出しました。その成果は今しっかりと店のメニューに表れているようです。
 取材当日、組んでいただいたメニューの前菜にはバッカラ・マンテカート、バッサーノ風のアスパラガス。ヴェネト地方独特なパスタ、ビーゴリの道具を手に入れて、プリモピアットはアサリと菜の花のビーゴリ、そして一つ一つ手で作ったガルガネッリには鴨と竹の子のソースです。セコンドピアットの牛ほほ肉の煮込みにはアチェート・バルサーミコを使って、すっきりと。ドルチェはチョコレートのスフォルマートと3種類の自家製ジェラートの盛り合わせ。
 うん、これは確かにイタリア修行の実りです。どの料理からも北イタリアの匂いがしてくるのですから。
「イタリアの郷土料理がその土地の食材を大切に使うのを見て、僕は大宮の食材を生かしたイタリア料理を作っていきたいと思うようになりました。それをイタリア人に出して、認めてもらえるようにします。」
 飯岡シェフのもうひとつの興味は当然イタリアワイン。休日に都内で試飲会や講習会があれば、必ずといっていいほどシェフの姿がみられるはずです。
 初代シニョーラのイタリア料理への情熱は、今二代目飯岡由多可シェフにしっかりと受け継がれ、次なる発展を待っているようです。

住所 埼玉県さいたま市大宮区東町2-288-1
鈴木ビル1F
TEL/FAX 048-643-2000
定休日 月曜日
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E-mail:apicio@ict-ict.com