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La Cantina
ラ・カンティーナ
FICTイタリア料理長期研修第4期に参加した前川さんが、伊勢・松阪駅近くに“ラ・カンティーナ”をオープンしたのは昨年の11月のこと。始めてから間もないというのに、もう常連さんが出来たようです。「仕事で東京によく行く方がいて、東京では有名店にお食事に行くのですが、地元ではここに来て下さいます」
大都市以外で店を出す場合、一番難しいのが、いかにその地方の人の味覚に合わせるかということでしょう。いくら本場の味を出しても、理解が得られなければ、夢は夢で終わってしまいます。しかしここラ・カンティーナのメニューを見ると、東京でもお目にかかれない料理名が並んでいます。“トラーパニ風クスクス”これは1000年程前にシチリアに侵略したアラブ人がおいていった料理です。“マッカルーナ”は生地を編み棒に巻きつけて作った、穴あきパスタで、一つ一つ手で作ります。そして“ヴィチェンツァ風干ダラの煮込み”は北イタリアの郷土色豊かなもの。皆その地方に行かなければ食べることが出来ないものばかりで、一般的なリストランテのメニューとは思えません。老婆心ながら「注文してくれる方がいるのですか」と心配すれば、前川シェフは「はい。説明すれば大体の方が注文してくださるんですよ」と涼しい顔。続けて「席数も少ないですし、作りたい料理を出したいんですよ。夏の間は南イタリアの料理を出して、寒くなるに従って北の料理を出していこうと思います」「この店の名前カンティーナ(ワイン蔵)は、ワインも楽しんでいただきたいので、常時120種類を取り揃えているのでつけたんですよ」「パンは自家製です」等など、意欲的な言葉が並びます。
極めつけは厨房の隅にあるピッツァ釜です。「この釜が欲しくってあちこち見て歩きました。ピッツァだけではなく、肉を焼くと薪の香りがして美味しいんですよね」の言葉通り、いただいたほろほろ鳥のローストは風味豊かな一皿でした。おっとりとした物腰とは反対に、心の中には熱いものがたぎっている前川シェフ。イタリア研修中は奥様と愛娘紫恵菜(しえな)ちゃんの写真を胸に、自分の夢の実現に励んできました。 そして今は「私はここ松阪の食材を使って、松阪のイタリア料理を作っていきたいんです」と、なお夢に向かって着実に歩み続けているようです。
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