10日目の目的地は、今回の旅でホテル泊を除けば唯一日本人の友達がいない場所。
コトの始まりは長本さんにアルベロベッロへの行き方を聞いた際に「近くにチーブスっていうレストランがあるから行ってみな〜」と言われたことだ。
長本さん経由で、現在シチリアのリストランテ・ドゥオモで働いているレイコさんを紹介してもらった。
レイコさんの最初の研修先がチーブスだったそうで、電話をしてもらってアポを取ることができたというわけだ。
で、やっぱりクラクション鳴らしっぱなしのバスに乗ってソレント駅に着いてナポリまで出る。
歩くこと10分くらいで国鉄のナポリチェントラーレ駅を見つける。ここまでは順調。
いつもの調子で自動券売機で切符を買おうと思ったら欲しい切符が買えない・・・なんで?
見ると「乗り換え時間が短すぎるからダメ〜」ってさ・・・おいおい5分あるじゃないか・・・買うこともできないのかよ?
ならば予定変更。この後のユーロスターに乗ってブリンディシまで出よう。
ってこれも券売機で買えない・・・今度はいっぱいだそうだ・・・やばくなってきた・・・。
わかったもうしょうがない!大行列の窓口に並んで一番早い方法を聞こう。と考えて列に並ぶ。
時間が昼頃だからなのか、いつもこうなのか・・・19個の窓口のうち開いているのは3個・・・。
これぞまさにイタリア・・・。この50人は超えるだろう大行列のことなんかおかまいなし!
待つこと1時間ほど、やっとこさ俺の番。
「次のユーロスターの切符ってもう無い?」
「もう無いよ、次は17時過ぎ」
4時間も待っていられるかってんだ!?じゃあ各駅乗り継いでできるだけ近くまでいこう。
さっきの乗り換え5分にかけてみてもいいし・・・。
「じゃあ○○行きの普通電車の切符下さい」
「だめだよここはユーロスター専用」
は??もう勘弁してくれー!普通電車の切符は買わせてくれないのかい?
「どこで買えばいいの?」
「インフォメーションで聞きな!」
ってちょっとまてコラ!それぐらい教えてくれてもいいだろう?むかついてきた! (-。-#)
自動券売機に戻って近場の駅までの切符を購入。あ〜並んで損した。
飛び込んだ電車の中で時刻表を再確認すると、今乗っている一本前に乗ってればまだ乗換え5分にチャレンジできたようだ。
もういや〜っ!7時過ぎに約束していた目的のオストゥーニ駅に着くのは22時過ぎだ。
チーブスに連絡したところ「その時間だと迎えに行けない」とのコト。
はぁ〜タクシーか・・・しょうがないなぁ〜。
オストゥーニ駅に到着。まずはチェリエメッサーピカに行くバスを探すが、バスもタクシーも見当たらない・・・。
途方にくれてバールに行く。バリスタのおばちゃんに「どうやって行くの?」と聞いたら
「あそこのお客さんがそっち方面に行くから乗せてってもらいなさいよ!」って。
見るとビールをガブガブ飲んでいる2人組の男性発見。おばちゃんが説明してくれる。
「よし!乗っていけ!じゃあ行こうか!」
ラッキーだ・・・すごく酔ってそうだけど到着の望みが湧いてきた・・・事故りませんように・・・・。
図らずして、ヒッチハイクに近い状態になってしまった。
チェリエメッサーピカまでは30分ほどで到着。細い路地と坂道が入り組んで迷路のような街だ。
立ち並ぶ石灰を塗られた白い家が街頭に照らされて幻想的な雰囲気を出している。
「リストランテチーブスはどこ?」「こっちじゃないよあっち!」「知ってるヤツいるぞチョット待ってろ!」みたく
会う人会う人に道を尋ね、その度に5〜6人で論議が繰り広げられる。南イタリアらしいというかなんというか・・・。
やっとの思いでチーブスに到着したときには日付が変わろうとしていた。
翌日はチーブスのキッチンを見学させてもらう。
シェフのフィロメーナとマンマのジョバンナが作るのは本当に素朴な料理。
特に自慢の薪のフォルノで焼く肉のローストが大胆!
牛だの豚だのウサギだの、各種の肉を串に刺して塩振ってフォルノへ入れる。だけ!
これだけなんだけどすごくうまい!「肉は焼くだけが・・・」とはよく言ったものだ。
長本さんからのメールに「足す料理にばかり慣れてはいけませんね!」とあったが、本当に考えさせられた。
「俺らの今やってることってなんなんだ?何をもってうまいと思うのだろう?」
翌日もキッチンを見学。
他の料理もいくつか味見させてもらったがどれもおいしかった。素朴で・・・飾り気が無くて・・・でもおいしい。
そしてオリーブオイルがうまい。味が強くって、これとパンと塩だけでバクバク食べれる。
フィロメーナとジョバンナにお礼を行って一眠り。
明日はアルベロベッロに出発だ。
アルベロベッロまでは私鉄電車で1時間弱。
トゥルリと呼ばれるとんがり帽子状の屋根をした、かわいい家が時折電車の窓から見える。
駅を降りて坂道を登ると広場に出る。ホテルもすぐに見つかった。
広場から階段を降りると目の前にはたくさんのトゥルリが立ち並ぶ。
魔法使いの村にでも迷い込んでしまったかのような気持ちになる。
石が積まれたとんがり帽子にはところどころ白い線で太陽やハートのマークが書かれている。
これはそれぞれ宗教的な意味があるらしい。
トゥルリも色は白。チェリエと同じく、南イタリアの強い日ざしを反射させて室内を涼しくするための知恵だ。
昼食は近くにブォンリコルドのレストランを見つけたので、そこで食べてお皿をゲット。現在3枚。
ひとしきり街を回った後はエノテカで買ったプリミティーボとランパショーニ(ヒヤシンスだかユリだかの根)で
部屋から夕日に照らされるトゥルリを眺めながら一杯。
ソレントと同じく方言があって、言葉を理解するのは大変だった。けど、とっても人々があったかい感じがする。
飾り気の無い料理にも、クーラーが無くても涼しいトゥルリにも、見たことも無いような食材にもすべて感動した。
長靴の国のかかとの州は、今まで見てきたイタリアとはまた違うイタリアの姿を見せてくれた。
「南イタリアに来て良かった。」
もうすぐ開いてしまうワインの瓶を片手にそんな風に思うのだった。
トゥルリはだんだんと暗闇の中に隠れていく・・・。
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