11月。
街はすっかり秋の色に染まり、高い高い青空が広がっている。
11月といえば、やっぱり楽しみなのは「ノヴェッロ (Novello)」だろう。
フランスのヌーボーと同じく、今年収穫された葡萄で作られた新酒のこと。
ボージョレーヌーボーが、11月の第3木曜日と解禁日が設定されていることに対して、イタリアのノヴェッロは「11月になったら・・・」みたいな感じで、2週間ほど早くありつけるのが嬉しい。
近頃はワイン好きな方も多いので、「ヌーボーなんて・・・酒じゃないジャン!」なんて方もいると思うのだが、俺の場合、この仕事で頑張っていこうと決心した18歳の頃から、「一種の祭り」として、毎年楽しみに待っている。
あっ!ウソウソ!?お酒は20歳からでしたね・・・じゃあ20歳からってコトで。
味は確かに酒っぽくないし、甘ったるかったり薄いことも多い。
そりゃあ、ワインは、短くも長くも「熟成」と言う名の魔術をかけておいしくなっていくのだから。
ソレよりも、今年も葡萄が収穫できたことへの感謝だったり、5年後にこの葡萄からどんなワインが生まれているのだろう?と想像するのが楽しい。
特に今年は、死者が出てしまうくらい夏が暑かったので・・・さてさて??
葡萄は「夏が暑い方が良い」なんて聞くけど、あんなに暑かったら・・・はてさて??
俺だけに限らず、きっと世界中でたくさんの人が「飲まなきゃ!」って気分にさせられるんじゃないだろうか?
ウチのお店でも6日の木曜日からお目見えしたのだが・・・さすが本場!
どこから聞きつけたのか、ノヴェッロを飲むぞ!ってお客様で、バールもレストランも大賑わい!
飲みたいのだが・・・全然時間がない・・・。
そんな週明け、ヤスが彼女のヒロちゃんを連れて遊びに来た。
お店からノヴェッロ3種類を買い込んで、毎度おなじみの「残り物晩餐会」に突入する。
お城での結婚式の写真があったので、二人に見せてみた。
なかなか楽しそうに眺めていたが・・・本当にここで式をやったりしたらどうしよう・・・。
翌週のお休みは、またまたミラノへ足を運んだ。
秋冬物の服を探そうと思い、アウトレットショップを求めてカドルナ駅周辺を歩く。
センピオーネ公園の歩道は、前日の雨で赤茶色の絨毯に覆われている。
空は快晴・・・前日の雨模様がウソのように澄みきっていて・・・気持ちがいい。
途中、道路標識で「Fiera(=見本市)」というのを見つけた。
そういや、電車の中に「味の見本市」の広告があったような・・・なかったような・・・。
試しに行ってみるとしよう。
歩くこと30分ほどで見本市会場に到着・・・だけど、でかすぎてどこから入っていいものやら・・・。
やっとの思いで入り口を見つけると・・・なるほど確かに「Expo dei Sapori」と書いてある。
受付を済ませ中に入ってみる。
日本で見るフーデックスなどと同じで、各地域・各種のお店のブースが立ち並んでいる。
まずは南イタリアゾーン。
おなかが空いていたので、シチリアのレストランのブースで、懐かしの「イワシとウイキョウのパスタ」と「アランチーニ」を購入。
加工肉・オリーブオイル・ハチミツなどのお店を周って、エノテカのブースで1杯。
プーリア州のところに、トウガラシ屋さんを発見して話を聞く。
色とりどり、大小様々なトウガラシが店頭には並んでいる。
お店のおじさんが絵葉書をくれて、絵柄は「トウガラシ大食い選手権」のモノ。
どうやら、一定時間内にいかに多くのトウガラシ(生)を食べられるか?というモノらしく、イタリアでは毎年行われているそうだ。
去年もおととしも、「やはり」なのかな・・・辛さに強い南イタリアの人が優勝しているそうで、なんと500g以上を平らげたとか!?
肉とか米でもそんなに食べれないのに・・・怖ぇ〜。
よく、「辛いものは精力を増強して・・」なんて話を聞くが・・・じゃあ、この歴代の優勝者たちは、「絶倫」ってヤツだろうか・・。
続いて、北イタリアのフロア。
ピエモンテ州のコーナーでは、チーズ・トリュフ・サラミなどを見て、エノテカで1杯。
いや・・・ノヴェッロも飲んだから2杯・・。
ロンバルディア州のフロアでは、地元クレモナやブレーシャ・パヴィアなどのチーズやサラミ類を見て周り、やっぱしノヴェッロを2杯。
サルディーニャ州のフロアではボッタルガ(カラスミ)を購入。
さきほど、ハチミツとサラミも何種類か買ったので、あさってにダイちゃんと松浦さんが来たときのつまみにしよう。
水曜日はダイちゃんと松浦さんが来店。
二人にレストランでお食事をしてもらって、夜はやっぱり飲み会に。
フィエラで買ったボッタルガをつまみに、日本のレストラン事情について、アツク語る。
翌朝に松浦さんは出発、ダイちゃんはウチでお仕事。
ちょうど週末に大きな予約が入っているため、2人そろってず〜っとず〜っとマルビーニ(トルテリーニのクレモナ語)。
3時間くらいやっていたので、しまいには目をつぶっていても形が作れる状態。
もっと色んなところを見せてあげたかったのに・・・。ごめんよ〜。
夜はダイちゃんはクレモナを散策。
予約がなかったので、セルジオにお願いしてお休みにさせてもらった。
車を借りて、ダイちゃんの待つクレモナに向かう。
ダイちゃんと合流して、セルジオに教えてもらったリストランテでお食事。
やはり、クレモナの料理を食べたいので、アンティにコテキーノ、プリモに先ほどイヤってほど作ったマルビーニをオーダー。
満腹満足になった二人は、いよいよ解禁になった「ボージョレーヌーボー」を土産に家に戻る。
ダイちゃんは同い年なのだが、とっても努力家でたくさんの知識を持っている。
13期のメンバーの中でも、同じ年(ヤス・ダイちゃん・ハンちゃん)の連中の話や活躍は特に刺激になる。
俺ももうちょっと勉強しなくちゃなぁ〜。
今月はいよいよ、リストランテイタリアの冬の名物・サラミ&ラルド作りが始まった。
ラルドは、豚の背脂を塩漬けにした加工肉。
オーブン焼きにしたポレンタの上に乗せて、とろけてきたところを口に頬張ると、口中に脂のうまみと甘みが広がる。
肉に巻いたりしてみたりと、色々な使い方があるのだが、俺はこの「ポレンタラルド」が一番好きだ。
北イタリア人に対する悪口みたいなものに「ポレントーネ(ポレンタ喰らい?って訳すのかな?)」ってゆーモノがある。
ポレンタは、トウモロコシの粉を挽いたものをお湯で練って作る、パスタの親戚みたいなもので、「粗食」ってイメージのモノ。
だもんで恐らく「貧乏食ばっかし食いやがる」みたいな悪口なんだと思う。
けどね・・もう俺、ポレントーネで全然いいです!悪口言われてもへっちゃらっス!
だって、特にこの「ポレンタラルド」なんか、本気で感動しちゃう位のウマさなんだもん♪
トウモロコシに囲まれた村なだけに、ウチの店の人間はポレントーネがいっぱい。
先日、セルジオの家で夕食をご馳走になった時、メインを食べる時になって、テーブルの真ん中にドーム型のポレンタがド〜ンと居座っていた。
みんなはソレを、適当な大きさで自分のお皿に取って、同じくブロックで置いてあるゴルゴンゾーラをナイフで取っていく。
アツアツ、柔らか〜なソレを口に入れると・・・メチャクチャうまい!
日本では数回しか使ったことがなかったのだが・・・コレは日本に絶対広めてやる!
でもってサラミ。
クレモナやピアチェンツァのサラミは「サラメ・コン・アーリオ」ってヤツで、ニンニクの香りをつけるのが特徴だ。
まさに「これは・・・豚さんが何頭分だろう・・・?」とか思っちゃうくらいの肉をミンチにかけまくる。
すっごい本数で作っていくので、まさに「冬の間に1年分」って感じだ。
だいぶ前に、「加工肉」なんて勉強をしたから、こいつはかなり面白いぞ♪
日本では「仕入れるもの」だったものが、こうして作るところから見れる。
きっとこの経験は一生忘れないだろう。
ポレンタだのラルドだのサラミだのをついつい食べすぎちゃって、最近ちょっと太ってきたかもなぁ。
やっぱ、秋は「食欲の秋」だしね♪
まぁ、冬眠に入る前だと思えばいいや♪
けど、「スポーツの・・・」と「読書の・・・」は全然実行できていない・・。
こうして、高い高い秋の青空の下、タクはどんどん肥えていくのでした・・。
やばい・・俺のラルドが・・・。
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