クレモナより愛をこめて


よくよく考えてみると、この日記のタイトルって「クレモナより愛をこめて」なんだよね・・・
その割に、地元クレモナの話題は「50円のハエ叩きを買った」くらいしか載っていないんだなぁ・・・

そんなワケで??今日のお休みはクレモナに行くことにした。
ちょうど、ヴィラパゴーダで働く城山さんが連休を取ったそうなので、ウチに泊まりついでで合流することになった。

ところで、クレモナとゆー街はですね・・・知る人ぞ知る「バイオリンの街」なのです。
そう、バイオリンの発祥の地がココなんだってさ!
16世紀にアマーティが初期のバイオリンを作ったらしく、有名なストラディヴァリ(ストラトヴァリウス)さんはその弟子にあたる。ストラディヴァリやグアルネーリなどの巨匠のバイオリンには、「ん億円」っていう価値があるってんだからスゴイ!

街の中心には大きなドゥオモと広場があり、街のいたるところでバイオリン工房を見つけることができる。
中心地のすぐ近くには、ストラディバリアーノ美術館なんてのもある。
ただし、ここは月曜日がお休みなので、、月曜休みの俺は仕事を辞めるまで行けない・・・ってのが悩めるトコロ。

ドゥオモの周辺は、石畳の街並みに服屋など各種のお店が並んでいて、道端のカフェで一休みしていると、近くのバイオリン工房から調律する音が聞こえてきたりする。

バカンスのはじめにお世話になった阪本さんは、ここクレモナのドゥオモから近いバイオリン工房にいる。
クレモナにはバイオリンの製作学校があって、日本人の人口はなにげに多い。だが、プロとしてココでお店を開いている日本人は4〜5人しかいないとか。

城山さんは、予定通り?もうちょっと到着まで時間がかかるそうなので、まずは工房に行ってみる。
ドゥオモの脇を通り抜け、ひと気を離れた細い路地に入って、ちょっと進むと、品の良いバイオリンのショーウィンドウが見える。

店の中に入ると木の匂いが漂っていて、日本から来たらしいお客様と阪本さんが話をしている。
店内にはバイオリンに使うのであろう、大小様々な木の板が理路整然と並べられている。
聞いたところ、バイオリンに使われるのは楓の木(スロベニアなど東欧諸国から輸入)。表板にはモミの木も使われる。
弦は、昔は羊の腸が使われ(今でも時々使われる)、ボウ(右手に持つヤツ)の弦は馬の尻尾の毛。

でもって、聞くつもりもなく話を聞いていると
「じゃあ、これ(木の板)が100ユーロで〜、こっち(木の棒)が30ユーロで〜」って、なんじゃそりゃ??
バイオリンじゃなくて、こんな木の板が100ユーロ・・・なんかその辺で見つけられそうだけど・・・

だがしかし!たかが木の板、されど木の板!
その、100ユーロする板とかは「10年もの」みたいな感じらしくて、手に入りにくいモノなんだと・・・。
なんか、ワインと似ているのかもしれない。

じゃあ・・・バイオリンの状態だったら、一体いくらになるんだ?
作る人にもよるのだが、やはり30万円〜100万円くらいはするようだ。
ただし、1個のバイオリンを作りだすのに、白木での作業が終わるまでで1ヶ月くらいかかるみたいで、そっから上塗りの時間を含めると・・・それだけの価値があるものなんだなぁ・・。

ひとまずおなかが空いたので、阪本さんと近くの店でサンドイッチを頬張りつつ、バイオリンのお話を聞く。
そろそろ城山さんがクレモナに到着するはずなので、駅まで迎えに行くとしよう。

クレモナ駅前で城山さんと合流。
さすが、ジェノバ近郊で働いているだけあって、かなり色が黒くなったようだ。

ドゥオモへ向かい、広場の目の前のカフェでしばしの休憩。
お互いの職場の近況を報告しあう。
毎度、いろんな人と「報告の時間」が設けられるのだが、「ところかわれば〜」って感じで、毎回「へぇ〜」と思わせられる。

再度、阪本さんのバイオリン工房へと足を運ぶ。
今度は実際にバイオリンやチェロを触らせてもらった。

手に持ってみたのも、じっくりと見たのも初めての経験。
こうしてみると、面白い形をした楽器だなぁ〜。

バイオリンの板の厚さは2mm〜4mm。
板にはそれぞれ、独特のカーブと隆起があり、弦の横には「エフ」の形をした穴が開いている。
ここから内部を覗くと、製作者の名前が書かれたシールが貼ってある。
板の厚さが1ミリ変わるだけでも音が変わってしまうそうだ。
どんな形状にするか?どれくらいの隆起をつけるか?でも、もちろん音はそれぞれ変わるらしい。
まさに職人達の技が光る、魂を(でもって愛を)込められた「作品」だ。

なにげなく触っていたチェロとかも、「ん〜っと・・・それは昔の職人さんが作ったヤツで300万くらいかな?」って・・・急に触っている手が汗ばむのを感じた。

2階に上がると作業台があって、まだ新しい木の屑があたりに落ちている。
テーブルの上にはまだ白木の状態のバイオリンが置かれ、お化粧されるのを待っている。
今まで「工業製品」ってイメージだったバイオリンだが、「手作業で作られているんだなぁ〜」と実感できた。

阪本さんにお礼を言って工房を出て、街を散歩することにした。
ドゥオモが開いていたので中に入る。
俺は無宗教なのだが、マリア様に50チェントのお賽銭(とは言わないか・・・)を渡しお願い事をした。内容はねぇ〜ヒミツ♪

今日は本当は髪を切りたかったんだ・・・もうかれこれ半年近く伸ばしっぱなしになっている。
地元とクレモナで、先々週くらいから美容室をさがしているのだが、どこも月曜休み。
もしかして、このまま仕事を辞めるまで髪を切りにいけないのだろうか・・・。

でもって髪といえばウチの父。
横浜の実家で理髪店を営んでいる。
その父が今月でめでたく還暦を迎える。

本来なら「赤いチャンチャンコ」を贈ってやりたいのだが、さすがに見つからない。
ACミランのユニフォーム(赤黒)とか!・・と思ったのだが、俺がインテルのほうが好きなのでやめる。
プレゼントは「真っ赤なマフラー」にした。赤いチャンチャンコよりは使い勝手がいいだろう・・・。いきなり送ってビックリさせてやろう・・・フフフ・・・楽しみだ。

日本はどうやら寒くなってきたようだ。
友達は「おこた」を出したとかメールに書いていた。
この辺りもすっかり寒くなって、朝晩が特に冷え込み、朝の7時で6℃なんてことも・・・。
秋は?サンマは?ってくらい急激に冬に向かっている。
このまま気温が下がったら、12月や1月はいったいどうなるのだろうか・・・?

だが、急に寒くなったので、きっと今年は紅葉がきれいなんだろうなぁ。
実家の前の山が少しずつ赤く染まっていく様子を思い出す。
イタリアでも紅葉は見れるのだろうか・・・待ち遠しい。

スピッツの「楓」を口ずさみ、ワケもなく人恋しさに切なくなってみる。
あぁ・・・日本のみんなは元気にしているだろうか・・・?

道端にはどこから落ちてきたのか栗が転がっている。
通り抜ける冷たい風に、迫り来る冬の気配を感じながら時間の流れの速さにとまどう。
もう5ヶ月も経ってしまったんだ・・・・。

家族に、友達に、ライバルに、同僚に支えられてなんとか生きることができている。
テロが続いたり、ビルが爆発したり・・・こんな物騒な世の中で、どうかその人たちが楽しい毎日を送っていますように・・・。
なんてことをガラにも無く思ってみたりしたのだった。

クレモナより愛を込めて・・・。



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