バカンスが終わって・・・


バカンスも終わり仕事の毎日が始まる。

バカンスの間の服や下着類を洗濯に出し、お土産やら切符やらで散らかった部屋を整理する。
部屋片付けがとぉ〜っても苦手な俺が、なんでこんなに整理整頓しているかというとですね・・・
そうしていないと、必要なものまで捨てられてしまう恐れがあるから!

俺のいるリストランテ・イタリアは洗濯・掃除をお店の人がやってくれるのだがこれがすごい!
毎回感心するのだが、イタリア人の掃除・洗濯に対する気合は「ストイック」な領域まできているような気がする。

まず掃除。
朝、俺がレストランの上にある自室からお店に入ると、間髪いれずにカメリエーレ兼客室係が部屋に入る。
寝ている間に暴れて乱れた布団を整え、テーブルの上を整理し、洗面所を掃除。
もちろん、空き瓶なども含めゴミは捨ててくれるし時には床まできれいになっている。

街を歩けば、午後5時くらいのお店を開ける時間帯ともなると、どこもかしこも窓拭きからスタート。
もちろん朝の開店時にもやっている。だから1日に最低2回はショーウィンドウのガラス拭き。
店内もピッカピカ!
いまだかつて、「ちゃんと掃除しろよぉ〜」って思う店に入ったことが無い。
なんてゆーか・・・「汚れている・いない じゃなくてとにかく掃除!」といった状態か・・・。
飲食に携わる者としては見習いたいものだ。
しかし、日本人的にはやはり「ここはきれいだから掃除の必要は・・・」って思ったりしてしまうのだ・・・。

そして洗濯。と言うよりは、その後のアイロンがすごい!
もう、とにかくどんなものでもアイロンをかけまくる。
そう・・・Gパンだって・・・パンツやら靴下だって!当然のようにアイロンをかける!

コックコート・下着類・その他もろもろの洋服などを洗濯に出すと翌日には「タク!部屋に戻るときに洗濯物を持っていけ!」と言われ、案の定パンツにまでアイロンがかかっているのだ。
なんか履く気をなくしてしまいかねないが・・・。

この前、自室のコックコートが終わってしまって、洗濯室に行ったところ自分のコックコートを発見!
アイロンはかかってないけどまぁいいでしょう!今日はコレを着て仕事だぁ〜!と思っていたら・・・
「タク!なんでアイロンをかけていないコートを持っていくんだ?」と怒られてしまった・・・。
だって、仕事できないじゃんよ!と思うのだが・・・コレくらいのスピリットでアイロンがかけられている。

今日もシワひとつ無いコックコート(とパンツと靴下)に身を包みキッチンに向かう。
今日は気合を入れて頑張るぞぉ〜♪

というのも、昨日からユージとヤスが泊まりに来ていて、今日はレストランでお食事の日。だから。
昨日はこのメンバーに藤谷さんを加えた4人でミラノに集合。
やっぱり・・日本食を食べに行って、なんとそこで偶然にもミユキさん(ドモドッソラの後半に通訳をしてくれた人)と再会!

その後ミユキさんと藤谷さんとは別れ、バカンス中のヤスと連休中のユージがウチに食べに来ることに。
バカンスでいろんな人のレストランに行ったけど、誰かが来るのは初めて。
別になにかが変わるわけではないのだけれど、ちょっぴり緊張して、気合が入ったりしてしまう。

朝の仕込をしていると2人がキッチンに顔を出して来て、まずはセルジオ(シェフ)や同僚に挨拶。
冗談なのか本気なのか「働くんでしょ?」と同僚達に聞かれ「今日は(!?)働かないよ!」と返す。
なにげなくセルジオが言った「タクの友達は俺の友達だ!」って言葉が無性に嬉しかった。

時間が早かったので、2人は何も無い街を散策し、12時半に来店。
コックコート姿でテーブルに行き料理の内容やお勧めを説明する。

オーダーはアンティがウナギのテリーヌとフォアグラのアッフミカート(燻製)。
プリモはカタツムリ(エスカルゴと言うべきか・・・)のトルテッリと白インゲンのズッパ。
セコンドにウサギのモモ肉のファルチートとロトリーノ・ディ・ヴィッテロ。

この「ロトリーノ」は、バカンスの最中にもたびたび出てきたが、ウチの店の「ブオンリコルド」のお皿。
薄く伸ばした牛肉にポルチーニを使った詰め物を塗ってロール状に巻いたもの。

あぁ、口に合っただろうか・・・?
客席に行くと、おなかいっぱいでユージがダウンしていた。味はなかなか好評のようだ。

食後、セルジオが「後でクラテッロ(生ハムの高級版・・・って言うのかな?)を作っているトコを見に行こう!」と言ってくれた。
セルジオも久々の日本人のお客様を相手に気合十分のようだ。

セルジオのX-TRAIL(日産)に乗り込む。そして・・・
いつものことだけど大爆走!
バカンス中に乗ったタクシーより、下手なジェットコースターより・・・セルジオの運転の方がよっぽど怖い・・・。
きっと2人も「イタリア人の運転する車」が苦手になったことだろう。

どれくらいだろう・・・
途中、車はポー川の上を駆け抜け、エミリアロマーニャ州に入り、ジベッロ村(クラテッロで有名)の看板を通り過ぎた小さな村へ。
30分くらいだったかな・・・ジベッロがこんなに近いなんて知らなかった・・・。

工場に着いて従業員の方々に挨拶をし、作業場の方へと移動する。
食材探しの旅の最中、バリラのパスタを見たときかな?にも着た、真っ白い衛生服(ってゆーのか?)を着て中に向かう。

時間が夕方近かったので作業はしていなかったのだが、まずは塩漬けにされた豚肉を見させてもらう。
プロシュートが豚モモ肉を一本使うのに対して、こちらはモモ肉の後ろ側のみ。
骨を抜いた状態で塩漬けにされる。にしてもでかい肉だ・・・。

そして熟成庫。
扉を開けて次の部屋に進むたびに、だんだんカビのような匂いや熟成香が強くなっていく。
最後の熟成室には塩漬けの状態から13ヶ月以上経ったものが所狭しと並べられる。

ひととおり見学の後、応接室でクラテッロの味見。待ってました♪
ウチにもクラテッロはあるのだけど、やっぱし作られたその場で食べるのが一番おいしい。
香りが良くって、生ハムよりも脂が少ないけど肉の味が強くて、そしてやわらかい。

ユージが帰り電車の時間ギリギリのため、「大爆走(暴走?)!X-TRAIL」はクレモナ駅へと向かう。
クレモナでユージと別れ、もう一泊のヤスはクレモナ市街を散歩することに。

セルジオと職場に戻り、いつものように仕事が始まる。

翌朝、いつものように店の愛犬ラーナにバッチョをし、いつものように仕込みを始める。そしてヤスが登場。
一緒にゴハンを食べてコーヒーを飲む。
この時も同僚達に「いつ働きにくるんだ?」と突っ込まれていた。

では駅に向かって出発。
帰り際にヤスが、ウチの連中に向けて「この次は冬に働きに来るよ」なんて言っていた。
けど、あの山奥からじゃ冬はでてこれないだろうに・・・本気かなぁ〜??

ヤスの次の目的地はバッサーノ・デル・グラッパ。
「Buon Viaggio!」
駅で握手を交わし、街の人々に挨拶をしつつ店に戻る。

そして今日も、シワひとつ無いエプロン(とパンツ)に身をつつみ、いつものように営業が始まる。
さぁ、今日も忙しいぞぉ!



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