番外 オッティモ

 7月18日、翌日は滞在許可証をトリノに取りに行く日。1日早く仲間4人が集合して、バローロ・バルバレスコをまわった。なんと望みどおり、ロベルトヴォエルツィオ(Roberto Voerzio)・ガヤ(Gaja)、いまや両者を代表するカンティーナを予約出来た。夜行列車での疲れを感じながらも、朝一でレンタカーをトリノで借りて出発!バローロまでは約1時間。まずは、ヴォエルツィオのカンティーナのあるラモッラ(la Morra)の村に向かった。
 
 ラモッラの街はバローロの畑全体を見渡せる高台にある。標高は500メートルほどで、ここからなだらかな斜面が続いていく。日当たりのよさそうな斜面がいくつも見ることができ、ネッビオーロというポテンシャルの高いブドウを使っていることもさることながら、太陽・土地からの恵みがワインの味わいを最高なものにしていることを感じた。カンティーナには、予定の10:30よりも早く到着。入り口あたりでうろうろしていると、老婦人がこちらに向かってきた。しばらく話をしていると、どうやらドアのブザーを鳴らしている。すると門が開き、向こうにはロベルトの姿が。なんとこの老婦人、ロベルトのマンマ(母)だった。「私の息子、このロベルトとジャンニ(Gianni)は2人とも素晴らしいワインを造っているのよ」と自慢気に話していたのが印象的だった。
 さて、いよいよカンティーナに入る。ロベルトは畑の仕事から手が離せないということで、代わりにダヴィデ(Davide)が案内してくれた。まずは栽培方法の説明。素晴らしいワインを造る所はどこでもそうだが、質のよいブドウを造るために徹底した収量制限をする。ぶどうのまず半分は房のまま切り落とされ、1本の木に5個ほどが残る。その後残された房もひとつひとつの体積の半分ほどが切り取られ、人の手のこぶしほどの大きさになってしまう。栽培の説明を受けた後は、デグスタツィオーネ。まずは2001年の「バローロ ラセッラ(la Serra)」から。もちろんバリックからの試飲。まだまだタンニンが荒く、香りも立っていない。しかし、舌触りがとても滑らかできれいな酸味があり、繊細さを感じた。この畑が一番標高の高い所にあり、450メートルほど。なるほど、畑の個性がわかる。次は、同じく2001年の「バローロ チェレークイオ(Cerequio)」そして「バローロ サルマッサ(Sar Massa)」。チェレークイオは、ラセッラよりも低い所にあり、より凝縮感のある力強いタイプ。当然タンニンはまだ荒いが、僕にはすでにある程度のバランスの良さを感じた。サルマッサは両者を併せたような性格。古木だけから造られ、瓶詰めはマグナムだけ。ん〜、素晴らしい!いかにも畑の個性がよくわかる。次は2001年のバルベーラ。なんとこのワイン、アルコール度が15%を超えているとのこと。さらにとてつもない凝縮感・果実味、さらに後から心地よく力強い酸味を感じた。みなこれには驚きの表情。・・・少しの沈黙。これは間違いなく世界最高のバルベーラだ!次は2000年の「バローロ ヴェッキエヴィティ カパロット(Vecchie Viti Capalot)」。熟成が2年目に入り、少し香りが開いてきている。熟した果物、さくらんぼ・ラズベリー・カシス、さらにチョコレート・タバコ・スミレ・・・。テイスティングメモにはもう書ききれないほどだった。素晴らしいの一言!次は99年の「バローロ ブルナーテ(Brunate)」。もうすぐ瓶詰めが待っている段階。次は98年の「バローロ チェレークイオ」。今市場に出ているもの。この2本についてはもうコメントはしません。オッティモ(最高に美味い)!このワイン、熟成を経てどこまで美味しくなるのか・・・。お金無いけど、今のうちに買っておかなきゃ!残念ながらどれも生産本数が少なく、価格も高い。でも、見つけたら飲んでみてください!ホント、幸せになれます。
 最高の気分だった。ロベルトもダヴィデも、ブドウ農家の一員という感じが強く、服や靴には泥がついていた。素晴らしいワインはこういう努力から造られるんだな〜、と肌で感じることができた。また、2人の対応はとても親切。「昼ご飯はどうするの?」とダヴィデ。まだ決めていないと言うと、知り合いのリストランテを電話で予約してくれた。さらに、車で先導。ほんとにありがとうございました。ヴォエルツィオの皆さん。Vi ringrazio!
 
 食事の後はガヤのあるバルバレスコまで移動。車で30分ほど。バローロとはアルバの町を挟んだ向こう側にある。到着して厳重な門の中に入る。ここでは、マーケティングのステファノ(Stefano)が対応してくれた。雰囲気は農家というより、品のあるオフィス。まずは、カンティーナの中を見学。ヴォエルツィオの生産量が少なすぎるせいか、ガヤはとても大きなカンティーナに感じた。大量のバリック、ステンレスタンクが並ぶ。ここの特徴は熟成を1年目はバリック、その後はオークの大樽を使っていることだ。そして、バリックの材料の樫の木材を天日干しにすること5年。晴れの日も雨の日も雪の日も、そのまま放置されている。そうすることにより余分な木の香りがワインに付き過ぎないようにしているとのことだった。
 
 知ってますか?ガヤはワイン造り以外に、ワインの輸入やグラス類の販売もしてること。もちろんイタリア国内で。オフィスの一角には、世界中の素晴らしいワインとグラス・デカンターなどが並んでいた。さらにカンティーナのすぐ隣の古い城を買い取って、数年のうちにホテルとしてオープンさせる計画だそうだ。
 さてさて、ようやくデグスタツィオーネ。ココでは3本を試すことができた。「ガヤ エ レイ シャルドネ 99(Gaia & Rei Chardonney)」今の段階ではまだまだバリックの香りが強いが、ミネラル分や、まろやかでもしっかりとした酸味を感じ、今後の熟成が楽しみという感じ。もっと複雑さが増し、素晴らしい凝縮感とのバランスが取れていくと思う。次は、「バルバレスコ 98(Barbaresco)」まだまだ十分に香りが開いていないが、さすがの迫力。凝縮感のある果実の風味の奥に、優しく線の細い香りが確かに感じられるのは、バリックと大樽を使っているためなのかなと思った。明らかにヴォエルツィオにはない繊細さを感じた。もちろん、さらなる熟成が必要だ。最後は「マガーリ 2000(Magari)」まだ市場に出ていないワインで、トスカーナのマレンマ(Maremma)という海沿いの地区で造られている。有名なボルゲリもこの地区に含まれる。このワイン、もうすぐ出荷されるらしい。アジェンダの名前は、カマルカンダ(CA'MARCANDA)。ここでは、すでに市場に出ている「プロミス(Promis)」と、来年出荷予定の「カマルカンダ(アジェンダと同じ名前)」というワインが造られている。どれもメルローを主体にバリック100%で醸造されている。色はほとんど黒にちかく、香りは若いメルローに特徴的なピーマンのような青い香りが支配的。それにバリックのトースト香とチョコレートの香りが重なる。とても飲み頃とは言えない状態だが、これからの発展を期待させる優雅さをもつワインだ。
 素晴らしい時間はアッという間に過ぎる。ガヤの皆さんも、ありがとうございました。
 
 夕食は、ココに行こうと決めていた所があった。車でないと行けない・高すぎない・2つ星・・・、アルバとアスティーの間にある、コスティリオーレ ダスティー(Costigliole d'Asti)という街の、グイド(Guido)というリストランテ。そう、イタリアで10本の指に入るだろうか、ピエモンテ最高のリストランテ。もう、こんな贅沢な日を過ごしていいの?いいの!ココで飲んだワインは、ヴォエルツィオの「バローロ ラセッラ 84」。なんと34エウロ(Euro)!日本円で4000円ほどだろうか。力強さはないものの、チョコレートやタバコ、スミレの花やチェリーの香りはとても優しく優雅なものになっていた。飲み頃を過ぎているんじゃないかと心配したが、さすがにバローロ、長熟ワインだ。料理はもちろん美味しい、でも職業がらサーヴィスが気になるんだよね。2人兄弟を中心にサーヴィスは回っている。無駄のない動きや優しい身のこなし、でしゃばり過ぎず引っ込み過ぎずのバランスは素晴らしかった。たくさん勉強になることがあるだろうなー。よし、もう一度食べに来よう。出来たら働かせてくれませんか?
 
 こんな贅沢な1日。一生のうちに何回あるんだろう?・・・決して自慢したいんじゃないですよ。でも自慢大会になっちゃいましたか??あしからず!

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