第2回

2003 ウナ ジータ イン イタ〜リア Una Gita in Italia (2)



 2日目の14日は、国境沿いをゴリツィア方面に走り、オズラヴィア(Oslavia)という小さな町を目指した。道沿いにいくつか国境ゲートがあり、本当に国境沿いにいるんだと実感させるところだ。地続きのあの家は違う国になるんだと思うと、なんだか本当に不思議な感覚だ。
 さて、訪ねたのは、ラ カステッラーダ(La Castellada)。スキンヘッドの大男、はっきり言ってイカツイおじさんが案内してくれた。でも、話し方や説明はとても親切。親切すぎて、話が難しくよく分からなかったという部分もあるけれど。しかし、このカンティーナ、入り口に案内ひとつない。表札すらついてなくて、探すのに一苦労した。
 何とか辿り着くと、早速地下にあるカンティーナに案内してもらった。訪ねたのが真夏だからというのは言い訳にならないだろうが、少し高めの温度だった。どうやら普段の年ならまったく問題ないらしいが、今年の猛暑ではたとえ地下でも温度が上がりすぎているとのこと。温度コントロールの出来るところならいいのだが、ここのように昔からの地下の施設を利用しているところはこういった影響も受けているのだろう。さて、試飲はほとんどをバリックからさせてもらった。ピノグリージョ・トカイ・ソーヴィニョン・シャルドネ、どれも樽の印象が目立った。瓶詰め前では当然といえば当然。でも、市場に出ているのもやっぱりバニラなどの香りが強い。そのへんを尋ねてみると、決して樽の香りをつけたいのではなく、ここのワインにとって不可欠な技術なんだとのことだった。確かにとても凝縮感が強く、ミネラル分も豊か。樽の要素に負けない十分な力強さを持っている。だからといって重たすぎる感じではなく、ちゃんとバランスの取れた酸味やエレガントさもある。そして、ここは市場に出す前の瓶熟期間を普通よりも長くとっている。というのは、やっぱり少し時間を置いて、ワインの色々な要素がなじむまで待った方が良いワインなんだと思う。実際に飲んでみてもそう思った。そして強調していたことのもう1つは、SO2を極力使わずに醸造しているということ。アルコール発酵の前には一切添加しないんだとか。
 このへん一帯、Oslaviaには個性的な生産者がいくつかある。例えばグラヴネル(Gravnel)・ラディコン(Radikon)など。このラ カステッラーダ、一見バリックを使った単なる新しいタイプの生産者に見られがちだが前の2つに負けない強烈な個性を持ったところだと思う。値段が高過ぎないのも魅力的!7・8年寝かせたここの白、是非飲んでみたくなった1本だ。


 そして、この旅の1つの目玉、ミアーニ(Miani)を訪ねた。ウディネからゴリツィアに少し向かった、ブットリオ(Buttrio)という町にある。ジローラモ ドリゴなど優良生産者が集まっているところだ。
 話には聞いていたものの、ここも探し当てるまでかなり苦労した。さらに、直前からものすごい嵐。雷と突風で、しばらく身動きが取れなかった。雨の中探し当てたのは、フツーの“おうち”。違っているのは、小さい発酵タンクやトラクターのようなものがあるということくらい。出迎えてくれたのは、感じの良い初老の婦人と、最も手に入れにくいイタリアワインを造り出す、エンツォ ポントーニ(Enzo Pontoni)本人だ!!待ちに待ったこの機会。去年はきっと無理だろうと諦めていて、訪ねなかった。今年、一番に電話したところはここミアーニだ。電話での応対はとても親切で、実際に会ってみると、まだ少年のような心を持った親切な“青年”という感じ。澄んだブルーの目が印象的だった。
 意気込んでカンティーナのような、普通の部屋のような、まさにガレージと言えるようなところに入っていくと、トゥット(Tutto)、トゥットと彼が言っている。トゥットとはイタリア語で「全て」という意味。最初は何のことやら分からなかったが、これがカンティーナの“全て”なんだと言っていると分かった。バリックが20個くらい並んでいるこの部屋が、まさに全て。あまりの小ささに声が出なかった。もちろんこの20個のバリック、1年分ではなく少なくとも3年分はあるはず。となると・・・、手に入らないのは必然。納得・・・。十分すぎた意気込みが自分の中で空回りした。たったこれだけ・・・。
 幸運にも貴重なはずの1本、「トカイフリウラーノ '01」を試飲させてもらえた。2001年は今年ほどではないものの暑かった年。彼は、どうやらこの年の白の出来にはあまり満足していないようだった。やはり白にとって重要なのはフレッシュ感とエレガントさ。暑い年のブドウからはどうしてもこれらが不足してしまうとのこと。それに比べて2002年は雨が多かったものの、それらが十分に残っているよう。彼いわく、赤に関しても2002年はとても良い年。収穫前後にはあまり雨が降らず、十分に太陽も出ていたんだとか。少し意外だった。そして今年に関しては、どうやらあまり浮かない表情。白は2001年のように暑すぎてフレッシュ感が不足するだろうといっていた。赤については、収穫までまだ時間があり不確定ではあるものの、やはり酸味・エレガントさは不足するのではないかと危惧されているとのこと。もともとフランスなどに比べ、自然環境に恵まれているイタリアにとって多すぎる日照 はマイナスに働いてしまうのだろうか・・・。ブドウの木にかかるストレスというのも見逃せないところだろう。・・・あ、トカイのコメント??さすがのポテンシャル!!って感じです。

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